2024年8月取材

■ お客様DATA

吉田金属工業株式会社
所在地 新潟県燕市吉田西太田2078-3
設立 1954年(昭和29年)12月
資本金 4000万円
事業内容 包丁関連製品の製造販売
代表製品 世界中で愛されるオールステンレス包丁
 GLOBALシリーズ
日本の食文化に合わせた国内限定モデル
 GLOBAL-ISTシリーズ
キャンプやアウトドアでの使用に特化した包丁
 GLOBAL CAMPシリーズ
              など
生産形態 繰り返し生産(量産)
URL https://www.yoshikin.co.jp/

■ 当社からの導入システム

  • 攻撃型生産管理システムTPiCS
  • 外注受払システム(JCS個別開発システム)
  • 出荷管理システム(JCS個別開発システム)
  • 実績収集システム(JCS個別開発システム)

など

洗練されたステンレス包丁「GLOBAL」を製造

新潟県燕市に本社工場を構え世界的ブランド包丁「GLOBAL」を製造している『吉田金属工業株式会社』。
1954年に設立、1983年より現在の主力製品であるオールステンレス包丁「GLOBAL」を製造販売している。持ち手と刃が一体となった洗練された美しいフォルムの包丁は、日本のみならず、スウェーデン、アメリカ、イギリス、オーストラリア、韓国など多くの国で高い評価を獲得している。現在、売上高の7~8割が輸出という。また、新たにキャンプやアウトドアでの使用に特化した包丁「GLOBAL CAMP」を発売し注目を集めている。
吉田金属工業は、包丁を10社の協力会社と共同で製造している。協力会社により1/3程度まで作成された素材を吉田金属工業での工程を経て完成する。また、一部の工程を外注に出すことにより作業の平準化も図っている。
もっとも重要な工程は?という質問に対し代表取締役社長 渡邉正人氏は「やはり刃を付ける工程ですね」と回答された。

オールステンレス包丁「GLOBAL」一例
製造現場風景

JCSとの取引のきっかけと経緯

吉田金属工業と当社の関係は、2011年に当社が開催したセミナーに渡邉社長が参加されたことに始まる。そして商談を重ねる中で、ボトルネックとなっていた「外注受払」のシステム化が最初に決まった。
その後、出荷管理システム、実績収集システムを導入いただき、ゆっくりと着実にサプライチェーンの見直しが行われ、2021年攻撃型生産管理システム「TPiCS」の導入が決まった。
当時を振り返って、渡邉社長は「必要なシステムを進めたことで結果的にTPiCS導入のための足場固めとなった」と言う。

吉田金属工業株式会社 代表取締役 渡邉正人 氏

生産管理システム導入前の課題

生産管理システム導入前の課題として、仕掛品の最小化、生産の効率化や全体最適化、納期管理、Excel管理の限界、生産管理の属人化などが挙げられていた。
中でも一番の問題として生産計画の属人化があった。当時、工場の生産管理は社内の製造プロセスに精通している生産管理担当者が、Excelを使用して経験と直感で行っていた。生産の計画を策定できる人間は限られ、担当者に負荷がかかっていた。

攻撃型生産管理システム「TPiCS」を導入した決め手

生産管理の検討を行う背景には、いくつかの要因があった。まず、Excelによる生産管理が難しくなってきたこと、職人が定年を迎えて技術継承が必要になったこと、そして同時期にISO9001の取得が決まったことから、生産の仕組み作りが必要となった。
検討した生産管理システムの中で、TPiCSが同社の必要とする機能を持っていたこと、そして導入企業の業種や規模が多岐にわたっていたことが、導入を決定する決め手となった。

左:生産管理課 課長代理 解良昌宏氏 右:生産管理課 係長 小林祐子氏

要件定義とシステムの構築

今回初めて生産管理システムを導入することもあり、「マスターの標準化が大変だった」と生産管理課 課長代理 解良昌宏氏は言う。アイテム数が数百あり、アイテムによって実施する特殊工程の確認、統一工程の調整、さらには原価計算に含まれていない隠れた工程なども見つかり、この調整に時間が掛かった。当社もこの間何度も訪問し打合せを重ね内容のまとめを行った。
そして、工場の日々の生産数を取り込み、生産実績に反映する仕組みも用意した。

本稼働時にトラブルが発生

一部の工程で1か月間のテスト稼働を行い問題ないことを確認し臨んだ本稼働だったが、本稼働後にトラブルが発生し2週間で運用が停止された。
原因は様々あったが、大きなものとして実績の入力に誤りがあり所要量計算に狂いが生じたこと、前工程からの仕掛品が置き場になく手待ちが発生したこと、所要量計算のタイミングが生産体制と合わなかったことが挙げられた。

3か月後、再稼働が実現

再稼働に向けて一つ一つ問題点の解決を図った。
当社の担当SEも生産管理課長の解良氏と生産管理課 係長 小林祐子氏と何度も打ち合わせを重ね、安定稼働に向けてシステムの設定内容の見直しや調整を行った。

・製造現場への対応

教育により実績収集システムへのデータ入力方法を周知し正確な情報を収集した。また、仕掛品の置き場所の視覚化や、棚卸し実施時は商品が動かないようにラインを止めるなど業務ルールの見直しを行った。さらに、作業指示書を導入して日々の作業を明確にした。
TPiCSからの作業指示で「今日やること」「明日やること」が見え、作業に納得感を持って取り組めるようになり、次第に製造現場のシステムへの不信感が薄れ、協力を得られるようになっていった。製造現場は、出荷に対しての合理的な生産が出来るようになった。

作業指示書配布ラック
・生産管理の業務改善

生産管理システムの運用も見直しを行った。同社の受注が月に1度と纏まっていることや、実施した現場の生産ルールの見直しなど考慮し、繰り返しシミュレーションを行った結果、同社にとって生産計画のタイミングは「月に1度の所要量計算、計画固定期間1か月」がベストなことが分かった。 計画固定期間を1か月としたことでシステムが策定した生産計画を社内の体制合わせて調整を行う余裕が生まれた。 また、材料の発注も計画に沿った手配により余剰在庫がなくなった。

生産管理システムTPiCSの操作風景

3か月後再稼働が実現した。まだ、調整しなければならないところもあったが、最初の稼働時と比べ大きなトラブルもなくシステムが回り始めた。

TPiCSの導入成果

導入から3年が経過し、TPiCSは同社の生産管理になくてはならない存在になっていると言う。
TPiCSの導入成果として小林氏は次のように話された。
「改善すべきこと、本来あるべき姿など、必要なことが明らかにされてきた点が一番大きな成果であると思います。よりどころとなる生産管理システムがあることで、製造現場も『各部署ごとの作りやすい作り方(部分最適)』から『全体最適に合わせる製造』へシフトしてきていますし、納得してもらえる計画情報を製造現場に提供できるようになり、お互い仕事がスムーズにまわっていると感じます。」
さらに、「業務に余裕ができたことで、今まで手が回らずに疎かになっていた遅延確認、改善対応、リスケジュール、アラーム発信などの計画の事後検証も可能になってきていて、本来の管理業務に軸足を移せている部分も大きな成果になっていると思います。」

最後に、

当社の担当営業やSEに期待されることは?とお聞きしたところ、
「困ったときにはすぐ迅速に対応していただいているので、いつもすごく助かっています。
これからも、一緒に伴走して、考えてトライしていただけたらと思っています。」
と、温かいお言葉をいただきました。

吉田金属工業株式会社様、当社の導入事例にご協力いただき
本当にありがとうございました。