2024年10月取材


■ お客様DATA

株式会社ヨコオ CTC事業部
株式会社ヨコオプレシジョン
富岡工場
所 在 地
群馬県富岡市神農原1112番地
創  業 1922年9月1日
資  本  金 78億円 (2024年3月末現在)
事業内容 ・車載用アンテナ
・半導体検査用治具
・電子機器用コネクタ
・先端医療用デバイス
CTC事業部の
代表製品
半導体検査用プローブピン など
生産形態 ・繰り返し生産(量産)
・試作品
U R L https://www.yokowo.co.jp/

■ 当社からの導入システム

  • 生産スケジューラ FLEXSCHE  など

株式会社 ヨコオ CTC事業部

 株式会社ヨコオは、主にアンテナ、ファインコネクタ、マイクロウェーブ、先端デバイスなどの分野で最高品質の製品を開発・提供しているグローバル企業である。生産拠点の積極的な海外シフトと、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの販売拠点を通じて市場のグローバルニーズに対応し、お客様に密着したサービスの提供を行っている。

 今回、生産スケジューラFLEXSCHEを導入したのは、ヨコオの中核事業の一つ、CTC事業部である。長年培った微細精密加工技術とマイクロウェーブ技術に加えMEMS(微小電気機械システム)技術を駆使し、高速・高周波および前工程・後工程検査プロセスの全ての領域における製品をグローバルに開発・提供している。

ヨコオCTC事業部の代表製品「プローブピン」 ※後ろに見える格子間隔は5mm

取引のきっかけと経緯

ヨコオCTC事業部と当社の関係は、2019年に始まった。

同年6月に開催された展示会「スマートファクトリーJapan 2019※」の株式会社フレクシェのブースに立ち寄ったヨコオCTC事業部の方から導入検討の希望を頂き、フレクシェ社のビジネスパートナーである当社が訪問し商談がスタートした。

その後コロナ禍による商談の中断はあったが、2022年、ヨコオCTC事業部 事業管理室 次長 飯田 治雄氏からの連絡で商談が大きく進展することになった。

生産スケジューラFLEXSCHEの導入検討時の課題

 当時、ヨコオCTC事業部では大幅な増産計画が進行していた。生産計画の立案にExcelを使用していたが、計算に時間がかかり増産に対応することが難しく、Excelに替わる生産スケジューラの導入が急務だった。

FLEXSCHE導入前の生産計画における課題

  • 各工程での生産計画の連携が弱く全体での計画がわかりづらい。
  • 計画作成に時間がかかる。
  • 計画変更時の調整に時間がかかる。
  • 計画作成が属人化している。
  • Excelマクロでの計画立案では、処理スピードが限界。

当社から生産スケジューラFLEXSCHEを導入した決め手

 当社は評価支援として、お客様にFLEXSCHEの使用感をイメージいただくために『ヒアリングした要望』と『提供いただいた実データ』を基に、プロトタイプを作成するサービスを行っている。

 この時も飯田氏から「現状のExcelによる生産計画の立案方法に合わせて、生産スケジューラでシステム化を行いたい」という要望があり、当社はその意図を汲み、あえてすべてを自動化せず、FLEXSCHEのスケジューリング機能を『設備の能力などに応じた作業時間の計算』などに絞り、生産計画担当者が設備の空き状況を見て、作業を1つ1つ手動で割り付ける半自動のプロトタイプで提案を行った。

 これにより複数の候補の中から、当社の提案力・対応力・FLEXSCHEの柔軟性をご評価いただき、さらに、導入支援内容や運用コスト面においても当社が選ばれる決め手となった。

ヨコオ CTC事業部 事業管理室 次長 飯田 治雄 氏

最初の導入先の決定

 ヨコオCTC事業部は、国内工場、国内グループ会社、海外グループ会社(マレーシア工場、ベトナム工場)が連携して製造を行っている。

 これらすべてを対象とした生産計画はプロジェクト規模が大きく立ち上げに時間が掛かるため、まずは小規模導入を行うことになった。その導入先に決まったのが、増産による設備の増設で最も生産スケジューラの導入を必要としていたグループ会社の株式会社ヨコオプレシジョンのプローブ製造だった。

YOKOWO GLOBAL NETWORK

システム開発:要件定義~運用テスト

 最初に要件課題の整理とマスタの準備を行った。

 ヨコオCTC事業部の担当者にヒアリングを重ね、要件や課題の整理を行った。時には、担当者に実現したいことをホワイトボードに書いて説明していただくこともあった。

 マスタの準備では、基幹システムSAPの管理情報を可能な限り利用し、不足情報は手作業で補った。試作品のような特殊なケースは、導入後に発生する都度対応することにした。

 システム設計では、Excelで行っていた生産計画の考え方を活かしつつ、FLEXSCHEの機能に合わせた改善を行った。その1つに「作業を分割した生産計画」がある。
 基幹システムSAPからの指図は1か月以上の大きな単位にまとまっているが、Excelのシステムでは、完了しなかった指図を月末で一度区切り、翌月に新たな指図として割り当てていた。

 その仕組みをFLEXSCHEに落とし込むにあたって、より柔軟な計画割り付けを可能にするため、ヨコオCTC事業部に合わせた指図単位を検討し「1日単位」で作業を分割することにした(図1)。さらに、元の指図が分かるようにコードで識別できるようにしたことで、日々の進捗の把握や、納期に合わせた生産調整が可能になった。

 運用テストは、『Excelで立案した計画 とFLEXSCHEで立案した計画の比較』などにより、FLEXSCHEへの移行が正しく行えるかを数日かけて何度も繰り返し検証を行った。

図1 作業を分割した生産計画の分割イメージ

FLEXSCHEの運用開始

 2023年4月、生産スケジューラFLEXSCHEでの運用がスタートした。

 運用開始後もFLEXSCHEの調整が必要だった。スケジューリングの精度を上げるためスケジューリングルールの調整し、試作品なども発生する都度対応した。

 従来の生産計画システムは現場を熟知した担当者がExcelで作り上げたシステムだったため、その使い勝手の良さから導入当初は「Excelの方がいい」という声もあったが、調整を繰り返すことで製造にあった生産計画が立てられるようになり、今ではFLEXSCHEによる生産計画に気持ちの面でも徐々にシフトしてきているという。

導入効果

 FLEXSCHEの導入により様々な変化があった。

 株式会社ヨコオプレシジョンCTC製造部プローブ製造部切削部品課 草野 広大 氏は「日々の計画業務のスピードは、ExcelからFLEXSCHEに変わったことで5倍程度速くなっている。」と話された。Excelで時間がかかっていた計算処理がスムーズに行えるようになったことが業務効率の改善に繋がったのだという。さらに、「FLEXSCHEを導入して便利になったことしかない。」という嬉しいお言葉もいただいた。

株式会社ヨコオプレシジョンCTC製造部プローブ製造部切削部品課 草野 広大 氏

 また、現場に5台の大きなディスプレイを置き、FLEXSCHE Viewerを用いてスケジュール画面の表示を行ったことで、現在の作業だけでなく、将来的な繁忙時期などがいつでも確認できるようになり、現場での作業の見える化が実現した。

現場の各所の大型ディスプレイにFLEXSCHE Viewerでスケジュールを掲示

 さらに、飯田氏から「現場でしか分からなかった作業負荷状況が営業部門でもわかるようになったことも大きな変化だった」ともお話いただいた。

今後のFLEXSCHE全社展開について

 現在、第一段階の『株式会社ヨコオプレシジョンのプローブ製造へのFLEXSCHE導入』が軌道に乗り、次の段階として、『FLEXSCHEの計画範囲を海外拠点を含めたグループ全体に順次広げる計画』が進行している。

 この計画が実現すると、グループ全体の生産状況を把握できるようになり、工場間の生産を連携して生産に合わせた部品供給が可能となる。最終的には、全拠点にFLEXSCHEを導入して連動させ、生産の効率化と強化を図ることがゴールとなる。

 また、さらに今回のインタビューの中で飯田氏から「営業が持っている中長期の生産計画データをFLEXSCHEに入れ込みシミュレーションを行って設備の増設計画や各工場の能力確保などの製造戦略作成にもFLEXSCHEを活用してみたい。」という構想もお聞かせいただいた。

インタビュー風景

まとめ

 このように、ヨコオCTC事業部では、着実な業務効率の向上と将来的な生産戦略を見据えた体制作りの一環として、現在も当社とともに生産スケジューラFLEXSCHEの適応範囲の拡大を進めていただいている。

 当社は、これからも信頼できるパートナーとしてシステムの構築に携わり、ヨコオCTC事業部にお役立ちできるよう取り組んでいきたい。

ヨコオCTC事業部 様からFLEXSCHEの導入を検討される方へのアドバイス

 「スモールスタートで始め、徐々に適応範囲を広げていくやり方だと始めやすいかと思います。まずFLEXSCHEを使い始め変化させることが大切なことと思います。」とこれまでの導入を振り返ってお話しいただきました。

今回取材にご協力いただいたご担当者様

株式会社ヨコオ
 CTC事業部 事業管理室 次長 飯田 治雄 様
 生産プロセス革新本部 RPF革新部 プロセス開発課 坂倉 将 様
株式会社ヨコオプレシジョン
 CTC製造部 プローブ製造部 生産管理課 課長 神戸 誠 様
 CTC製造部 プローブ製造部 生産管理課 中島 みゆき 様
 CTC製造部 プローブ製造部 生産管理課 五十嵐 竹丸 様
 CTC製造部 プローブ製造部 塑性加工課 課長 齊藤 純一 様
 CTC製造部 プローブ製造部 塑性加工課 黒澤 和哉 様
 CTC製造部 プローブ製造部 切削部品課 草野 広大 様

インタビュー風景
FLEXSCHEを使った打合せの風景

取材後に拝見した食堂は、スタイリッシュでカフェのようでした。
メニューも豊富でリーズナブル♪

株式会社ヨコオ様、株式会社ヨコオプレシジョン様

当社の導入事例にご協力いただき
本当にありがとうございました。

*「FLEXSCHE」および「フレクシェ」は株式会社フレクシェの登録商標です。